さて じゃんじゃん横丁から
えらく低いトンネルを抜けて向こう側へ。
リゾートなホテル屋さんがホテル建てるって話を聞いた。
あ!ヤバい!と思った。
再開発が始まる。もうすぐ東京オリンピックだし。
今、見ておかなければもう見れない景色があると。
そう思って家を飛び出した。
うん~~~ 確かに古ぼけた感じはするけど
そんな言うほどでも無くない?
うん~ たいしたことないじゃん。
旧採炭地で青春を過ごした俺としては
こんな古さは大して驚くような古さじゃない。
しかもお店が商売してんじゃん。
旧採炭地のシャッター商店街とか こんなもんじゃないよ。
アーケードの鉄骨が錆びて腐って落ちたりして空が見えてたり
自然崩壊した建物が 誰が片付けることもなく瓦礫のまま放置されてたり。
古い建物が古い建物のままご商売が続いてて
1周回ってかっこよくなったわけですよ。
そんなお店がいっぱい。
福岡にはこの感覚は無い。
古いのはすぐに
0.25周くらい周ったところで
壊しちゃったりリニュアルしたり。
ああああ! 玉出だ! スーパー玉出だ!
あとで行ってみよう!
出た! イタリアンスパゲティ!
ほんとだー! 同じだー!
よし 今度食おう。
小さなリサイクルショップ。
こういうご商売が継続してることがいいじゃない。
大手リサイクルショップに呑み込まれること無く。
上を見たら 制空権を取られていた。
まぁそんなこんなで 小さな路地とか入り込んだり
あっち行ったりこっち行ったりしながら
南のほうへ南のほうへ歩いていくと
うわっ! と声を上げるほどの街に侵入。
こういう地区が大阪に在るのは知っていたんだけど
新世界から俺の目的地との中間にこれがあるとは知らなかった。
建物がめちゃくちゃかっこいい!
それも軒を連ねる建物の
ほぼ全部がむちゃくちゃにカッコイイ!
だがこの地区は撮影禁止。
カメラを首から提げてるだけで お店の人らの警戒感がMAXまで跳ね上がる。
しかもお店の人らは皆、通りを歩く人間を見ている。
そして声をかける。手招きをする。
もし言うことを聞かずにパチャパチャ撮ってると
組合から私設ポリスの方が飛んでくるという話も聞いた。
残念。建物が撮りたいだけなのに。残念。
おっとー! だんだんそんな感じになってきたぞ。
ここか ここがそうなのか。
俺がテレビで見たことのある大騒動は1990年くらいだったかな。
そんな気配は微塵もない。
漫才で言っているような商売人も変なおっさんも見ない。
古くて静か。
そしてやたら見かけるのはお揃いのポロシャツを着た若者集団。
座り込んだ人をお世話したり ゴミを拾ったり。
だから古い街だけど決して汚くはない。むしろ綺麗。
月曜の朝の親不孝通りなんかより数段綺麗。
ほんの20年前くらいには 日本各地で見られたテント村。
最近じゃ福岡でもあまり見なくなったね。
弱者保護とかセーフティーネットとかNPOとかボランティアとか役所とか
観光的だったり政策的だったり景観的だったり安全上だったり
そんなんが寄ってたかって日本国中から簡易住居が無くなったんだけど
ここにはしっかり建っている。
何年ここにいらっしゃるんですか?と聞きたくなるくらいに立派に育った鉢植えが並んでたり。
ほとんどは俺より年上の方々。
だけど俺と同じくらい?いやもっと若い?くらいの人も見かける。
男性率95%。
そしてみんな仲が良い。
公園に座ってあちこちのグループの話に小耳を立ててみた。
何気無い世間話が延々と続く。
一人の酔っ払いのおっちゃん(じいちゃん)が公園の真ん中でへたりこんだ。
すると近くにいた4人くらいがワラワラと寄ってきて
「おっちゃん大丈夫か? また飲んだんか?」
「どこや?」
「あーこの人あそこや。○○や。」
「遠いなー どないする?」
そのうち誰かがオソロのポロシャツ軍団を呼んできて
その人らが丁寧におっちゃんを運んで行った。
俺が妄想するに ここには理想的な原始共産社会が在る。
贅沢を言わなければ生きていける。
明日は明日で同じことの繰り返しだけ。
だから他人に対して優しくなれる。
欧米主導の社会構築ばかりに流れてきた日本の
アンチテーゼがここに在って、
「世界で最も理想的な社会主義国家」と言われた2000年以前の日本を見た気がした。
たまにトリッキーな人を見ることもある。
でも誰もそれを気に留めたりは 少ししかしない。
そしてみんな生きている。
パワフルではない。
静かに生きている。
ラーメンを食べた。
http://hakata-taisho.biz/blog-entry-1696.html
銭湯に入った。
The銭湯。
平日夕方なので俺以外はほんの数人。
体を洗っていたら となりのとなりで洗ってたおっちゃんから
「兄ちゃんシャンプー持ってるかー?」
「いやぁ俺も無いんですよ。」
「石鹸も無いんか?」
「はい」
「ほれ 使いー」
むちゃくちゃデッカイ石鹸を借りた。
湯船に漬かってそのおっちゃんとしばらく話をした。
関西弁だったけど熊本出身の人だった。
この日は月曜日。
とあるお店で風呂上りに1杯やっていると
仕事帰りの人らがわらわらと入ってきた。
お店のママさんとの会話を聞く。
人情味あふれる会話にほっこりしまくる。
アジフライのほわほわさと そのほっこり度が相まって
この上ない幸せ感を感じる。
特に大阪のキタあたりの人にさんざん言われた。
なんでそんなとこ行くん?
俺は逆に問いかけたい。
なんで行ったらいかんの?
たった半日で何が解る!と言われそうだけど
その半日で見た景色は そんなに忌み嫌うべきものでもなく
俺にとっては むしろ興味と楽しみとにあふれ
自分自身や社会のことを深慮させてもらうきっかけになった。
俺にとっては他の土地に行って歩き回っているのと そんなに大差ない。
普通のCBトラベルだった。
あ いやー かなりCB度は高かったかなw
また行きたい。